ゆにわ荘のあゆみ

1886年(明治19)に関西大学の全身である関西法律学校が設立されました。

1922(大正11)年には、千里山に学舎が新設され、法学部と商学部の2学部をもつ大学として認可されます。

大学が設立された当時、大学の周辺は百姓の方々が生活をしており、田んぼや畑が広がっていました。

大学に学生が通い始め、下宿先が欲しいという声が上がり、百姓であったゆにわ荘の先代オーナーは、

自分たちの生活している場所を学生に貸していたそうです。

そうしている中で、学生アパートの必要性を感じ、1961年にゆにわ荘が建てられました。

風呂、台所、便所共同の男子専用の学生アパートゆにわ荘が学生アパートとして1番最初の誕生となりました。

 

ゆにわ荘は、全部で20つの部屋があり、学生が生活をしていたそうです。

現在私たちが借りている西棟は、居室部分だった場所です。

中には3畳しかない部屋もあったそうで、現在残っている柱で部屋の狭さがイメージできます。

共同の食堂といったものはなかったので、台所でご飯を作って、各部屋で食べるというスタイルだったとのこと。

掃除など行き届いていないところは、寮母さんが毎日掃除をしにきていたそうです。

高く積み上げられた教材に囲まれ、大学とアパートを行き来し、勉学やスポーツに励む生活。

時には隣の部屋の学生同士で、夜な夜な麻雀をしたり、お酒を飲んだりと、和気あいあいと楽しんでいたそうです。

このように、長い歴史の中で、多くの学生に愛されてきたゆにわ荘でしたが、

周りに次々と学生アパートや、ワンルームマンションが立ち並び、

8年前に入居していた学生を最後に、入居者が0人となりました。

近隣にある建ったばかりの学生マンションは飽和状態の中、

いまどきの学生たちに選ばれる人気物件に再生するのは、難しいと考え、

広いコモンスペース付きの2戸の専用住宅に再編したのでした。

 

階段の柱や、1階の柱を見ると、落書きをいくつか発見しました。

元学生寮だからこその趣き、何人もの学生がこの階段を行き来していたのか

どんな青春時代を過ごしていたんだろうとふと想像しました。

 

何十年もの歴史が刻まれたこの建物にまた新しい物語が始まります。